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オーストラリア・ニュージーランドのフッ化物普及状況
東京医科歯科大学歯学部国際交流質1999年
(1999年むし歯予防全国大会基調講演より)
オーストラリアにおいて最初に水道水フッ素化が実施された都市は、タスマニア州のリア州)、シドニー(ニューサウスウェールズ州)、1971年アデレード(南オーストラリア州)、1972年ダーウィン(北部直轄地区)、1977年メルボルン(ヴィクトリア州)である。クィーンズランド州の首都ブリズベーン以外はすべてフッ素化されている。
オーストラリアは広大な国土であるが、人口の約70%が、東海岸及び大陸の東南部にある10大都市に集中して住んでいるため、大都市の水道水をフッ素化することで、多くの人がフッ素による恩恵を受けられる。現在、人工的にフッ素が添加されている水道水(0.8〜1.Oppm)を使用している人口は65.8%、天然にフッ素が含有されている飲料水(O.5ppm以上)を使用している人口は0.9%であり、計66.7%の人がフッ素の入った水を利用している。
ニュージーランドにおいても1950年代から水道水フッ素化(0.7〜1.0ppm)が開始され、現在国民の約54%がフッ素の恩恵を受けている。これは、給水人口の63%に相当する。このように、オーストラリアやニュージーランドにおいて水道水フッ素化が広まったのは、歯科専門家だけでなく、一般の人に対してもフッ素に関する適切な情報提供を行ってきたからである。テレビや新聞の歯磨剤の広告では、フッ素のう蝕予防効果が大きく宣伝されており、一般の人が“F1uoride“(フッ化物)という言葉を、むし歯予防と結び付けて理解する機会も多い。政府による広報の中でも、水道水フッ素化のう蝕予防効果が報告されている。さらに学校において子供達に健康教育を行う際にも、フ ッ素とむし歯についての謡が行われている。フッ化物応用に積極的になってもらうためには、まずフッ素に対する正しい知識を住民に与えることが重要である。 1996年のオーストラリアでの調査によると、「水道水フッ素化に賛成である」と答えた人を分析した結果、歯科医師から情報の提供を受けた人は、情報を信頼できるものとして、フッ素化の支持をする割合が高いことが判明した。したがって、歯科専門家が一般の人々や意思決定者に対して、フッ化物の適切な使用法やその効果を伝えていくことが、地域社会において広くう蝕予防を行っていく重要なポイントであると考えられる。オーストラリアやニュージーランドでは、水道水がフッ素化されていない地域の住民は、フッ化物錠剤やフッ化物点滴剤が薬局で自由に入手できるようになっている。また、ギ学校歯科保健トビスの中で・デンタルセラピストや歯科看護婦が子供達に対して積極的にフッ化物歯面塗布を行っている。
フッ化物洗口を行うのは、水道水フッ素化地区ではハイリスク児が対象であるが、非フッ素化地区では、家庭や学校等で広くフッ化物洗口が行われている。オーストラリア、ニュージーランドともにほとんど歯磨剤にフッ化物が配合されており、その市場シェアは100%に近い。 オーストラリアやニュージーランドの一人当たり年間砂糖消費量は、約50kgで、日本の2倍以上である。しかし、砂糖の消費量が高いにも関わらす、子供のう蝕は日本と比較して少ない。(1993年の12歳児のoFT=日本3.6歯、オーストラリア2歯、ニュージーランド1.6歯)フッ化物を応用して歯質が強化された場合、砂糖はう蝕発生の大きな要因ではなくなる。水道水フッ素化は、受動的に、誰もが利益を得ることができ、社会的に平等で、リスクの高い者には特に効果があり、他のフッ化物応用法と併用されてより効果を示し、効率的で、また安全なう蝕予防法である。フッ化物配合歯磨剤もすべてではないが、この条件のいくつかを備えている。水道水フッ素化とフッ化物配合歯摩剤の両者の併用が行われることが、う蝕予防に最適であるとオーストラリアやニュージーランドでは考えられている。
 

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